あとがき:(1)&(2)

「あとがき」-(1)

  発明くんの能書きは、知財業界を批判するだけで実務では使えない、と言うことで当事者にとっては受け入れ難いと思う。どの世界も同じだが、お上が決めた規則によって構築(醸成)された運営システムや指針(方向性、流れ)に逆らうことは難しい。例えば、許出願件数や登録件数が評価の基準ならば、出願人、代理人、特許庁は、夫々の立場で利害が生じる。これまでの既得権を守ることで保身を考える人、これまでの慣行を変えたくない人、その柵から抜け出すことを諦める人、言われるまま余計なことはしない人など・・。人は夫々立場も違えば考えも違うから仕方がない。

  一方では熱心に耳を傾けて応援してくれる人達も居る。だが「隠れフアン」として肩身の狭い思いをしているならば大変申し訳ないことである。知財改革の提唱が多くの会社から受け入れられる日が来れば「隠れフアン」もきっと喜んで頂けると思う。だからこそ頑張れる。時には過激な内容で混乱を招くこともあるが、何とか今日まで、日本アイアールが生き延びられていられるのは、熱烈な「隠れフアン」の支援と励ましの御蔭である。心が通じるお客さんは、どんな小さな仕事でも声を掛けてくれる。そしてどんな話でも熱心に耳を貸してくれる。「感謝、感謝」の気持ちで一杯である。

余計な「あとがき」-(2)

  この原稿を書き終えて、いま校正をしていたが、ついウトウトして寝てしまった。不思議な夢を見た。狭くて汚い事務所で何やら賑やかにワイワイとやっている、メンバーは、発明くん、伊藤さん、カミさん、そして姉さんであった。そうだ!夢に出てきた狭くて汚いところは、日本アイアール創業時の事務所である。どのくらい酷いか、面接にくる予定のアルバイトが、ビルをみて逃げ出したいわくつきの事務所である。

  日本アイアール初代社長の伊藤さんは、おおらかな性格と天分の明るさは未だに変わらない。伊藤さんは大のお酒好きで、毎晩キチンと律儀に飲んでいるようだ。好きなものを食べて、飲んで、楽しい会話を楽しんで、愉快そうに「ワッハッハ」と笑い飛ばしている。これではコロナウイルスも近寄らないだろう。ご夫婦で船旅を楽しんでいるとのこと。好きな国はスペイン、イタリアといったラテン系の国が多い。妙に納得である。伊藤さんと話していると、なんだか悩むのがバカらしくなる。

  カミさんは、日本アイアールが社員を雇う余裕が無くて無給で働かされた犠牲者である。給料を払わないで、「タダ」で働かせた時期があった。仕事は、とりあえず経理という名目だが、諸々の雑用だけでなく特許公報コピーの配達までやらされた。なにしろ貧乏会社なので、お金のやりくりは大変だったと思う。カミさんには頭が上がらない。

  (故)姉さんは、特許公報の編集作業をやらされた犠牲者である。いい仕事があるよ、と下関から呼び出した。ところが、看板に偽りありで、仕事がいつもあるわけではない。というより、無いことの方が多い。仕事がなくても保障しないですむ、仕事が入れば、きちんとやってくれる、しかも金がなければ支払いは延ばしてくれる。こちらの都合ばかり優先していた。姉いわく、「素敵な男から騙されるのは本望だが、まさか愚弟から騙されるとは思わなかった」と。(2022年12月 28 日)

  発明くんが、社長を退任したあと、ちゃんとした会社に戻すには大変な苦労をしたと思う。新しいやり方で御客の信頼を得ているという手ごたえは感じている。「品質第一」と「信頼の構築」を経営理念として掲げ、御客の立場で考えたソリューション経営は、御客の期待に応えている。優秀なスタッフも増えており、モチベーションも高い。まさに“老兵は去るべし”だ。

おしまいに、“これだけは言いたい!イラスト_電球 

◆強い特許を作るには源流(研究開発部門)に足を入れなければ何も変わらない。
◆「日本知財村」の改革は源流(クライアントの要求)から変えることが早道と考えている。自社が目指すべき知財部のあるべき姿を明確に示し、丸投げをせずに「〇〇は、こうしたい、〇〇は、こうすべきだと思う」と強く協力を求めればよい。お客様(神様)の声であれば、特許事務所、翻訳会社、調査会社等の業者は、変われる。

発明くんイラスト

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