Ⅳ、社会の分断化で、どう変わる日本、
1,会社は誰のものか、
資本経済におけるグローバル化で、会社は誰のものか、株主の物であると言う考え方が会社経営の中入り込んできた。日本人は金儲けを美化する風潮を卑しいと考えてきた部分があるが、拝金主義の国から、「儲ける会社・経営者がエライ!」という風潮が入り込んできた。創業者でない経営者は短期評価で勝負に出ざるをえない状態にある。儲け方を知らない経営者は無能であると、株主はもちろんマスコミも叩く。経営の効率化が最優先され利益追求だけが会社経営の目的となっている。
その経営学の構成要素は、石油や鉱石などの自然資源、お金、機械設備および人間であり、すべて無機質の存在物として同じまな板の上で料理できることになる。そうであるから、雇った人間に払うお金は報酬ではなく、「人件費」であり経費の「構成要素」の一つに過ぎない。但し、自分達エリートは超、高報酬を受け取るのは当然である。
つまり、この構成要素の一つである人間(他者)が、どのような感情を持つ存在であるかなどに彼等エリートは、従って、まったく関心を持たない。物体が感情を持っているということさえ彼等にとっては不思議ということになろうか。
儲かるという文字は「人を信じている者が儲かる」と書かれている。株価や為替変動に夜もオチオチ寝られないカネを信じるより、人を信じて儲けたいものだ。
口で相手を言い負かす業(わざ)には劣る日本人、銭を転がして銭を稼ぐやり方ではとうていアングロ・アメリカにかなわない。日本人が、世界の中で生きていくには「モノづくり」しかない。これまで日本人やってきた「モノづくり」の実績と、それを育てる心も伝承されているはずだ。
いま、我々日本人の前には新たな「モノづくり」のステージが広がっている状況にある。そのチヤンスを生かすには、日本人が失いつつある「美への感性」と「育てる心」を復活させることで具体性が帯びてくると考えている。この感性と心は、当然のように、自然と共に生きる理念につながっており、世界の最大の課題(富と貧の2極化、地球の温暖化、資源の葛根など)に向かい合うことができるものである、
「モノづくり」を得意技としている日本が、その「モノづくり」を壊してしまったら、後に何が残るというのか。戦後の日本が如何にして高品質、高感度の数々のものを実現してきたのか、その要因を知ろうとせず、ものづくりの現場に立ったこともないような経営陣ばかりになって、アメリカ流のグローバル化だの自由市場経済だのの宣伝に乗せられて、自分達の強さを自分達で捨てることに成れば、実に愚かなことだ。
カラスを鷺と言いくるめる「ディベート」で、子供のころから鍛えられてきているアメリカ人に、我々日本人は口で勝てるわけがない。またそのような土俵で勝つ必要もない。ただ素直に、上品に、自分の知恵をわかりやすく平明に述べて、その存在を主張することが、我々日本人の取るべき、あるいは取れる唯一のやり方であろう。
日本人は、先端テクノロジー(AIやIoT等)を理解し、使いこなしていく能力は十分にある。更に、それらの先端技術に工夫と改良を加え便利に、安全にするこだわりと知恵もある。「モノづくりジャパン」が日々壊れていくいま、日本人の知恵を、日本ならではのイノベーションを生み出すことにシャカ力(りき)にならないと、本当にもう後には何もないことになる。
2. 信用が第一という大企業であっても、なぜ不祥事が起きるのか
グローバル世界での会社経営は、市場の寡占化で居座る巨大会社と独創性で生き抜く会社の2極化である。経営戦略を明確に持たない中途半端の会社は、何れ倒産、合併、買収され消滅する運命にある。
会社経営の目的は利益の追求であり、株主からの評価を得ることである。経営者は、その目的を達成するには社員へ犠牲を強いることがある。会社は競争に追われ長期の展望が描き難くなる。経営者は、経営の効率化を求め、社員たちの働き方を変え、生産性の向上を求めることになる。
もちろん会社側もリスクを負うことになる。優秀な社員が外部へ流出することである。その人が、これまで蓄積してきた知識、知恵、といった記憶力が会社から消えて行く。残った社員とて不安を抱える。その不安が「やる気」と「目標」を失い、指示されたことだけを「そつなく」忠実にやっておけば良いという考えが蔓延する。つまり自分のアタマで考えられない、あるいは考えないマニュアル社員が増える。それが組織に蔓延り会社の不祥事につながる。
信用が第一という大企業であっても、今後も不祥事が続く可能性は十分にある。会社が社員への生産効率を求めすぎるが故に、面倒な品質の検査機能が疎かになり、手抜き製品を垂れ流すなど、会社のモラルが低下しているからだ,。
悪しき慣習は組織に根付き、悪い事と分かっていても、そのまま突き進むしかない。嘘が「バレる」まで、前例に従って突き進むしかない。真っ当な商売に戻したくても、その時はもう遅い。物つくりの理念(原点)に立ち返ることはできなくなる。
まさに今、日本を代表するような企業で、品質不正、データの改ざん,虚偽報告、等が起きている。お上が言う持続可能な産業の発展は言葉だけで終わる。ではどうする。日本企業が、失いつつある企業倫理や道義心と働く社員の「倫理確立」に立ち返ることが大前提である。
「天地」の利、不正な行いによる金儲けは駄目である、という言い伝えがある。つまり、世間から尊敬される会社になれば「天が味方をする」という教えである。つまり不正な行いによる金儲けを戒めている。突き詰めれば正しい「経営道」から生まれる会社の信用力である。
会社の信用は株主への貢献だけでなく、社会への貢献、地域への貢献、環境への貢献などでも評価されるべきである。さらに社員を大事にしているか、下請けを苛めていないか、といったことも加味されるべきである。もっとわかりやすいのは、商品の安全性、高品質と利便性、そして行き届いたサービスの提供である。これがその企業の「技術ブランド」である。「技術ブランド」はファン作りでもある。ファンはお客だけではない。社員、株主、取引先、といろいろある。使命感なき「モノづくり」は、人間が壊れて行く。
