Ⅴ、混乱の世界、「モノづくり日本」の役割は増える

1.「モノづくり」の基盤は人である

日本人と総称される集団は世界でも珍しい“モノつくり大好き”民族であり、このことが世界で生きていく上で大きな財産(資源)となってきた。他の民族から見ると、この異常な情熱を注ぐ「好き者」である日本人が「モノつくり」をやめてしまえば、日本は世界の中での存在感は薄れるであろう。

「モノづくり」の基盤は人であり、その人間の尊厳と価値を無視した、働く人を単なる「人件費」としかみなさない経営は、必ず「モノ」に反映され、その「モノ」は市場で拒絶されていく。働き方改革とは名ばかり、コスト削減の掛け声の下で、派遣社員だ、アルバイトだ、パートだ、あげくは労働委託だなんてやり方で、「良いもの」なんかが出てくるわけがない。

「モノづくり」には種々ある。先ずは、農作物をつくる農業、森林を育て伐採する林業、魚類を養殖する漁業がある。そして料理、お菓子などを作る「モノ作り」、船、自動車などを造る「モノ造り」、この世にない新しいものを創る「モノ創り」、そして建てるという「モノづくり」がある。

(*)「作る」「造る」「創る」の漢字から、それが大きなモノなのか、小さなモノなのか、全く新しいモノなのかが想像ができる日本語の凄さを改めて認識した。

「育てる心」でもって、つくられたモノは、その受け手にも「育てる心」が伝わる。食べ物であれば、ありがたく受け取り、“いただきます””ごちそうさま“と感謝をする。製品であれば大事に使い、長持ちさせて寿命まで使うという姿勢になって現れる。これも日本の美である。

日本文化の基底には二つの大きな核がある。一つは自然物も含めての他者と共に生きる心であり、これは哲学といえるものかもしれない。もうひとつは美学、あるいは美意識といえるものである。この美意識は、「名こそ惜しけれ」という精神上の美学に現れてきた。その精神は生きる上での規律のようなものであり、かすかに西洋で言う倫理観に近いかも知れぬ。

日本は大国ではないが、世界秩序を守るプレイヤーに成れる。日本の「モノづくり」を支えてきた「和をもって尊し」の精神は世界の人々に受け入れられると思っている。日本の「美」であるこの精神は、この列島の住人が何千年も昔から自然の恵みを受けながら生き抜いてきた知恵の蓄積である。その原点は自然への感謝と共生への心、その土地に住む人達との助け合い、そして日々の営みを豊かにする「モノづくり」にある。日本は、アメリカ様の顔色を伺うだけでなく、時代と共に洗練されてきた「美」の感性を生かし、「得手に帆を揚げて」モノづくりに専念することが、日本の進むべき道かと思う。

▽2025/04/23朝日新聞夕刊「日本文化・四季タイ客魅了 8年間で10倍

『今や日本経済の牽引役となっている訪日外国人客(インバウンド)。中でも急増しているのがタイ人観光客だ。近年、来日数が10倍近くに増え、リピート率が高く、東京よりも地方を好む傾向があるという。彼らが日本旅行に求めるものとは?』

▽2025/04/16朝日新聞夕刊「日本最も好き」台湾世論76% 調査結果、過去最高

『日本台湾交流協会の台北事務所は、15日、台湾の人々の日本に対する好感度が過去最高になったとする世論調査の結果を発表した』。(新聞記事引用)

(*)日本統治時代の負の部分を自覚しないで、台湾は「親日的であるから」と見なしては、いないであろうか。反省の心と気配りを持ってお付き合いすることが大切かと思う。

2.「モノづくり」に挑戦する技術者達のドラマに感動!

▽ 2025/03/29 NHK 新プロジェクトX 100年スペシャル
未来を切り開く挑戦者たち、 名作「その後の物語」
先の見えない時代を切り開こうとする人たちの物語

『放送終了から20年近く経過した今も時代のうねりに翻弄されながら物語は続いている。そこで今回、100年を記念して「プロジエクト X 」の、その後にスポットを当てる』。

『首里城執念の再建へ 先人達の知恵を引き継ぐ若き職人たち <消えた名門家電メーカー元社員たち <それでも夢のエンジンにかける <製造中止からの復活劇 <インド市場への挑戦、日本の食材を世界へ、など、失われた30年の中、挑戦を続ける人々の思いに迫るスペシャル番組。』(NHK放送番組紹介から引用)

▽ 2025/04/05 (土曜日)20:00~20:45 NHK 新プロジエクトX 
日本の物つくりの意地、世界最速レースF 1 30年ぶりの復活優勝 

『復活を遂げた立役者は、新世代の技術者たちと、日本一売れた軽自動車を開発した「伝説男」。世代を超えて、ぶつかりながら大逆転を果たした技術者達の夢と挑戦の物語』。(NHK放送番組紹介から引用)

放送の中で技術者たちが言っていることは、“わくわくする物を作りたい。愉快な商品を作ろう。とにかく楽しいことを考える”。また経営責任者がこんなことを言っていた。“ロンマンとお金のバランス、反対する者もいるが最終決断は夢を追う社員への信頼”。経営者としての生きざまをみさせてもらった。

▽ 2025/04/24(木曜日)19:30~20:45  NHK 再放送 熱談プレイバック 新幹線誕生 D51を生んだ男が夢!講談と貴重映像で描く 

『日本が誇る高速鉄道の開発物語を人気講談師・神田阿久鯉が読み上げ、背後に大きくプロジエクションされたお宝映像が技術者を持ち上げる』(NHK放送番組紹介から引用)

▽ 2025/04/25(金曜日)20:00~22:00テレビ朝日 

タモリステーション 新幹線開発に思いを込めた技術者たち、困難を乗り越えた日本の技術力

▽ 関連情報:リベラルアーツ研究所 【名言】尊敬できる人との仕事 嶋 秀雄  新幹線開発の決断 『全く新しいものは、実は古いものの組み合わせ、掛け合わせによって生まれることもある』 https://libeken.com/hideo-shima/