2. 日本アイアール社のビジネスモデルが崩壊

  日本アイアールが業としている「知的財産業界」にも巨大な変化が起きた。当社のビジネスモデルが崩壊した直接の原因は、やはり社会の変化であった。

  平成 5 年、日本特許庁から発行される特許公報が、紙印刷の合本方式から電子媒体に変わったことである。その結果、情報のやりとり(流通)が大きく変化した。また情報の使い方、貯め方、出し方、つまり情報活用の方法が格段と進歩した。

  平成 9 年から日本特許庁の電子図書館(IPDL)が本格的に稼動した。ますます使い勝手が向上した。しかも過去の特許情報へ遡及して、無料で入手できるようになった。当然「無料」に勝てるビジネスモデルは無い。競争のしようがない。

  この変化は、紙印刷された特許公報を経営資源としていた当社のような特許業者にとって「即倒産」を意味する。なぜなら特許庁が、紙印刷で発行する膨大な特許公報の取り扱い難さを便利にする「ビジネスモデル」で食べていたからだ。社会の変化は、新しいビジネスの芽が生まれるチャンスであると人は言うが、そう簡単な話ではない。

  この変化は、特許公報の使い方を大きく変えた。必要情報を収集するだけで精一杯であった状態から効率よく情報収集し、情報を分析(解析)して、その情報から更に新しい情報を生み出す「創造活動」に使われるようになった。また知財のグローバル化で、もはや「日本知財村」のルール」だけで、やって行くには限界がある。

発明くんイラスト