5.デジタルを使いこなし、アナログを鍛える

  作業効率上げる為のツールは簡単に入手ができる時代にある。 使う人の知恵次第で作業効率は格段に上がる。しかしツールは、作業能率をあげる道具であり人間に代わって知恵を出してくれるわけではない。会社が抱えている課題を解決するには、どのようなプロセスで解決していくかと言ったことは、自分のアタマ考えるしかない。

  知財業界が躍起になって取り組んでいる「知財戦略・出願戦略」の類は、普遍性があるものではなく、極めて抽象的なものである。会社の規模、事業分野、事業形態、そして 取引先や市場等によって違うのは当然である。

  物事を具体化して行くには、まず 抽象概念の中から、
 ①共通する事項を取り出し【基本を知る】⇒
 ②抽象度を高めていく、即ち自分の頭で考え続けることで【応用で解く】⇒
 ③具体策が浮かび上がる【戦略に繋ぐ】と言った工程を得なければ課題は解けない。

  【基本】には、法的な根拠などがあり、
  【応用】には、分析力と思考力が求められる。
  【戦略】には、用意された正解が無く、自ら見つけ出すものである
  【基本、応用、戦略】が揃ってこそ完結する。

  基本が無ければ始まらない。応用が無ければ組み立たない。戦略が無ければ知財経営は成り立たない。この作業(工程)は、アナログである。

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  当社は、特許調査の仕事を多く頂いている。特許調査は、先行技術調査、侵害予防調査等がある。調査目的によって調査方法は異なるが、共通することがある。ただ闇雲に特許調査を行うのでなく、スタート段階から、しっかりとした目標(目的地) を設定し、羅針盤に沿った特許調査を行うようにしている。それは主観でなく「客観的な物差し」による事実に基づいた「戦略的特許調査」と、当社では位置付けている。

  つまり「特許航海図」を製作し、その航海図に沿って調査を進めていけば、ムダが少なく、生産性は格段と上がる。そのためには 自社の製品技術を解析し、要素技術を抽出する作業が起点となる。それら要素技術の解決手段を分析・整理し、特許調査観点を具体的、かつ明確に設定することで、他社技術との比較がやり易くなる。

ー調査観点を明確にすることでー

①研究開発技術者が権利侵害に対し、安心して研究開発設計ができる環境が整う。
②研究開発技術者のアタマにある「ボンヤリ」とした潜在情報を顕在化できる。
③開発プロジェクトが進むべき目標へ辿り着くに必要な航海図が作れる。
④開発プロジェクトは、この航海図による特許調査で、ムダな特許調査が減る等、の派生効果が生まれる。これは理にかなった方法「メソド」である。

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