IPMA >> 知的財産をマネジメントできる会社こそグローバル社会で生き抜く資格があります >> このままでよいのか日本の「特許明細書」を書き終えて
1)この本は「特許明細書作成」の専門書ではありません。表題とおり、このままでよいのか日本の「特許明細書」という問いかけを特許業界に投げかけただけです。グローバル社会の中で“果たして日本の特許明細書は、世界で通用(武器となる)するのであろうか”という素朴な疑問が原点となっています。
2)具体的な改善策まで本で取り上げるのは好ましくないと考えました。なぜなら改善余地のある特許明細書を引き合いに出さなければ比較ができません。比較材料として遡上に挙げられた特許明細書は決して良い気持ちにはなれないでしょう。当協会は手本となる特許明細書や改善余地が多い特許明細書を教材にして具体的な改善策を施したマニュアルを用意しています。このマニュアルは当協会の「知財経営塾」の講義に限定しての利用を考えています。
3)IP(知財)戦争とは詰まるところ原語の戦いです。特許明細書だけでなく、契約書をはじめ、あらゆる文書(守秘文書、マニュアル、使用説明書、企画書、設計書、議事録など)に対して、文書の品質保証体制が重要であるという提唱もしております。
4)更に世界へ「物・事・考え」を伝えるための言語を持つ必要性を強く訴えております。伝わる日本語、訳せる日本語、つまり曖昧さを排除した「文明日本語」運動です。「文明日本語」とは当協会の勝手な造語かもしれません。この定義は「聞いて読んで」アタマの中で理解ができる言語、あるいは文章を意味しています。特許明細書は技術の説明書です。技術はまさに世界共通の文明です。技術の説明は「文明言語」で書けば世界へ伝わる筈です。
5)日本アイアール社知的財産活用研究所の研究活動は1990年からスタートしております。これら研究活動がビジネスに結びつくことはありません。会社経営に余裕が無い中で会社を支えてくれた社員、ボランティアで応援してくれた方々には本当に感謝をしています。2013年3月に社長を退任して知的財産活用研究所所長を拝命しました。当研究所の研究成果物を当協会(IPMA)へ移管させながら無償公開するなどの奉仕活動を地道につづけてまいります。
6)グローバル社会での対応が難しい日本の特許明細書の改善を急がないと知財立国日本は必ず崩壊します。このように事の重大さを考えれば「のんびり」とはできません。しかし“一刻も早く改善をしましょうよ“と事を急いでも現状では難しいと考えています。焦っては自分の心身にストレスが溜まるだけでよい事はありません。“できるところから身のほどに、やっていきましょうよ”と自分に言い聞かせ、心に余裕を持って楽しみながら「文明日本語」運動に取り組んでまいります。将来この啓蒙活動が広がり、誰かの手で「日本中小企業知的財産協会」が設立されることを夢としています。(矢間伸次)
◆このままでよいのか日本の「特許明細書」の紹介はこちらから
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