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特許紛争に巻き込まれたら 第三章 米国特許訴訟事件

故意侵害

故意侵害について、その認定を回避するには、「専門家の鑑定を受けること」と言う要件が通例として、従来は認識されていた。しかし、2004年に連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)が判決したKNOOR-BREMSE事件において、「必ずしも専門家の鑑定を要しなくてもよい」との判断が示された。非常に興味深い司法判断であるが、一定の客観性を持った鑑定が基本的な必要要件であるという原則に変わりはない。

特許権者から送付された警告書を無視された経緯から、訴訟において故意侵害が認定されたケースは多くある。連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は、故意侵害や悪質な侵害者に対して損害賠償と訴訟費用の増額(いわゆる3倍賠償)を認めている。ただし、特許の出願申請中には認められずあくまで特許登録後の損害賠償にのみ認められる。

故意侵害の要件は、他社の特許権を正確に認識しつつ、特許権者の権利を故意ないしは留意せずに無視した場合である。正式の警告書の受領は、他社の特許権を正確に認識したことになる。それゆえ、警告書は絶対に無視してはならないのである。

ところで「グレー・ゾーン」、つまり侵害の有無が微妙な状況ではどのように対応すべきであろうか。侵害している可能性がある者は、総合的状況の観点から、「実践として是正する義務を負う」とされている。警告書への対応とともにこれらの注意義務を遂行することで、故意侵害の認定を回避することが可能になる。

「注意義務(due care)とは、a.「特許無効に関する合理的信念あるいは侵害事実がないという合理的信念」 b.「特許を回避した設計」c.「弁護士の見解を得てそれに従うこと」  d.「実体的な防御(Substantial Defense)」である。このうち、KNOOR-BREMSE事件判決で必須要件ではないとされたが、現在でも十分留意すべき点である。さらに、今後は何処までが注意義務として認められるか注視すべきである。

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